IRUD-Beyondモデル動物等研究コーディネーティングネットワークによる
希少・未診断疾患の病因遺伝子変異候補の機能解析研究

NIG International Symposium 2023 “Toward understanding the mechanism of human diseases: challenges with model organisms” (11/9-10)
遺伝研国際シンポジウム2023「ヒト疾患のメカニズムの理解へ向けて:モデル生物の挑戦」を開催(11/9-10)
https://ztrap.nig.ac.jp/sympo2023/index.html

on 13 Oct 2023

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About J-RDMM

2015年、希少・未診断疾患に対してオールジャパン体制で疾患原因遺伝子を同定するプロジェクト、未診断疾患イニシアチブ(IRUD)、がAMEDの基幹プロジェクトのひとつとして開始されました。 もとより我が国では厚生労働省を中心に難病研究がおこなわれており、臨床体制は整っていました。 それに加え、次世代シーケンサーの進展により大規模シーケンシングによる疾患遺伝子同定が可能な時代となっています。 IRUD研究者の多大な尽力により、短期間で多くの疾患遺伝子が同定されるにいたっています。その希少性によりひとりの患者しかいないため候補遺伝子にとどまっているケースも多々あります。 そこで、2017年よりIRUD成果を進展させるためにIRUD Beyondが開始されました。 そのひとつとして、モデル生物コーディネーティングネットワークプロジェクト(名称J-RDMM)があります。 希少疾患で同定された遺伝子、または候補遺伝子について、モデル生物を作成することで、その遺伝子の生物学的意義を検討するもので、以下の問題解決を目指します。

  1. 候補遺伝子で留まっている疾患について確定診断のために生物学的検討を試みる。
  2. 疾患遺伝子同定されたケースでもそのメカニズム解明のため生物学的検討をおこなう。
  3. 治療法開発に結び付くモデル生物を提供する。

国立遺伝学研究所は多くのモデル生物研究者をかかえ、どのようなモデル生物研究についてもコアとなれる存在であり、私が研究代表を務める次第です。 本プロジェクトの最大の特徴は研究者参加型であることです。IRUD研究者から申請された疾患遺伝子について、専門性を有するモデル生物研究者が手をあげ、コーディネーター委員会がマッチングをする体制です。 マッチングを受けた研究者には研究費を再委託します。モデル生物研究者同志、IRUD研究者とのネットワークを構築しつつプロジェクトを進めていきます。さらには国際ネットワークへの進展を目指しています。

研究代表者

国立遺伝学研究所
教授
井ノ上 逸朗

FAQ


どのようなプロジェクトですか

AMED:国立研究開発法人日本医療研究開発機構の未診断疾患イニシアチブ・IRUD(Initiative on Rare and Undiagnosed Diseases) の中で、モデル生物により疾患原因を究明するためのプロジェクトです。国立遺伝学研究所が代表機関となり、全国のモデル生物研究者を募集します。


何を解析するのですか

IRUDのエキソーム解析により原因遺伝子が確定し診断されるのは全体の3割から4割です。残りの未確定のもののうち、N-of-oneと呼ばれる、過去に報告のない疾患候補となる遺伝子バリアントがかなりの数リストアップされてきました。そこで、ゼブラフィッシュやショウジョウバエなど、変異体作製やフェノタイプの解析が迅速に行えるモデル生物を活用して、それらのバリアントの解析研究を行うことになりました。


どうすれば参加できますか

まず、モデル生物研究者レジストリに研究対象のモデル生物名や遺伝子名など簡単な情報をご登録の後、必要な申請書類をご提出いただきます。くわしくは申請サイトをご参照ください。


対象となるモデル生物は

優先されるモデル生物として、ゼブラフィッシュ、ショウジョウバエ、線虫、酵母など、迅速かつ少ない経費で解析が行える生物を対象としています。マウスなどその他のモデル生物において、すでに変異体を持っているなど、すみやかに成果が得られる場合はこの限りではありません。


研究費用はどうなりますか

研究にかかる費用は代表機関の遺伝学研究所から、各研究機関に再委託研究費として配分されます。1モデル生物ー1遺伝子の変異体解析が行える額を予定しています。


研究期間は決められていますか

変異体の作製等からフェノタイプの解析まで、おおむね1年とします。効率化のためにナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)から変異体をはじめとするリソースの提供を受けることも推奨されます。


採択の基準はありますか

臨床研究者より依頼のあった遺伝子をすでに研究対象としている研究者が優先されます。該当しない場合は、関連するパスウェイや、疾患フェノタイプの解明につながる専門を考慮して選考されます。


誰が登録できますか

大学、研究機関の教授、准教授、助教、研究員など、研究費を受けられる研究者が対象になります。(雇用される経費によっては専念義務などがありますので受けられない場合があります。)


意味のある結果が得られない場合はどうなりますか

全てのケースでフェノタイプが再現するわけではないと考えています。その場合も解析結果として取り扱われます。得られたモデル生物変異体等はNBRPへの寄託をお願いしています。


ヒトと類似のフェノタイプが得られました。さらに研究を進めたいのですが

本プロジェクトから追加配分の予定はありませんが、IRUDや他のAMED予算などで継続できる可能性があります。


その他の情報はありますか

米国では UDN (Undiagnosed Disease Network)のモデル生物スクリーニングセンター(MOSC)においてショウジョウバエとゼブラフィッシュによる解析が行われています。 カナダではRare Diseases Models & Mechanisms Networkにおいて同様の研究が行われています。米国との違いは、一カ所のセンターで集中的に解析する方式ではなく、モデル生物研究者に研究参加を呼び掛ける方式がとられており、日本はカナダ方式を参考にしています。本プロジェクトもこれらのプロジェクトと連携し、希少・未診断疾患の解明に努めます。


お問い合わせ

国立遺伝学研究所

IRUD-Beyond モデル動物等研究コーディネーティングネットワーク 事務局

E-mailアドレス: irud-beyond (at) nig.ac.jp

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